
「AIで仕事がなくなる」「ChatGPTがすごいらしい」——ニュースやSNSでこうした話題を見て、不安と興味が入り混じっている経営者の方は多いのではないでしょうか。
結論から言います。AIに仕事を「奪われる」ことを心配するよりも、AIを「使える会社」と「使えない会社」の差が開くことを心配した方が現実的です。
ただし、いきなり高額なAIシステムを導入する必要はありません。今のAIは、パソコンやスマートフォンがあれば誰でも無料で使い始めることができます。難しいプログラミングの知識も不要です。
この記事では、従業員30人以下の中小企業が、お金をかけずに今日から始められるAI活用の方法を紹介します。
「AIに仕事を奪われる」の実態
まず、多くの経営者が感じている不安について正直にお話しします。
AIが得意なのは、大量のデータを処理すること、文章を書くこと、情報を要約すること、定型的なパターンを見つけることです。逆に、現場の判断、お客さんとの信頼関係、地域の事情を踏まえた提案——こうした仕事はAIにはできません。
つまり、AIは「人間の仕事を丸ごと置き換える」ものではなく、「人間の仕事の一部を速くする道具」です。
わかりやすく言えば、AIは優秀なアシスタントです。指示を出せばメールの下書きを作ってくれる、長い資料を要約してくれる、アイデアの壁打ち相手になってくれる。ただし、最終判断は必ず人間がします。
本当に心配すべきなのは、「AIが仕事を奪うこと」ではなく、「AIを使いこなしている同業他社に仕事を取られること」です。AIを使えば見積もり作成が半分の時間で終わる会社と、手作業で丸一日かかる会社。同じ品質のサービスなら、対応の速い方が選ばれます。
まず何から始めればいいのか
AI活用と聞くと、「システムを導入しないといけない」「専門家に頼まないといけない」と思うかもしれません。でも、最初の一歩はもっとシンプルです。
ChatGPTかClaudeのアカウントを作って、実際に使ってみる。
これだけです。どちらも無料で使えます。
ChatGPT(チャットジーピーティー)はOpenAI社が提供するAIチャットサービス、Claude(クロード)はAnthropic社が提供するAIチャットサービスです。どちらもWebブラウザからアクセスでき、日本語で質問すれば日本語で答えが返ってきます。
スマートフォンのアプリもあるので、移動中や現場の合間にも使えます。
今日から使える5つの活用場面
「アカウントは作ったけど、何を聞けばいいのかわからない」という方のために、中小企業の日常業務ですぐに役立つ使い方を5つ紹介します。
1. メールの下書きを作ってもらう
取引先へのお礼メール、見積もり送付の文面、クレーム対応の返信——ビジネスメールを書くのに時間がかかっている方は多いと思います。
AIに「取引先に見積書を送るメールを書いて。丁寧だけど堅すぎない文面で。添付は見積書1通。納期は2週間後」と伝えれば、数秒で下書きが出来上がります。
あとは自分の言葉に合わせて修正するだけ。ゼロから書くのと比べて、かかる時間は3分の1以下になるはずです。
2. 長い資料や契約書の要約
取引先から届いた長文のメール、保険や契約の書類、業界レポート。「読まないといけないけど、時間がない」ものをAIに貼り付けて「要点を3つにまとめて」と指示すれば、すぐにポイントを教えてくれます。
ただし、社外秘の情報や個人情報を含む文書をAIに入力する際は注意が必要です。これについては後ほど説明します。
3. 社内向けの文書作成
議事録、日報、報告書、マニュアル——こうした社内文書の作成に毎日どれくらいの時間を使っていますか。
たとえば会議のメモを箇条書きでAIに渡して「これを議事録の形式にまとめて」と指示すれば、体裁の整った議事録が出来上がります。「新人向けに、この作業手順をわかりやすく書き直して」といった指示も可能です。
完璧なものが出てくるわけではありませんが、たたき台としては十分です。ゼロから作るストレスがなくなるだけで、仕事の進み方がまったく変わります。
4. お客さんへの提案内容を考える
「来週の商談で提案する内容を考えないと」——こういう場面でAIは壁打ち相手として使えます。
「うちは埼玉県で運送業をやっている会社で、ドライバー不足に悩む食品メーカーに配送代行を提案したい。先方の課題は繁忙期の配送遅延。提案の切り口を5つ出して」と聞けば、複数のアイデアを提示してくれます。
もちろん、先方の本当の事情はヒアリングしないとわかりません。でも、商談前に頭の整理をしたり、「こういう切り口もあるか」と気づくきっかけとしては非常に有効です。
5. 求人票や募集文の作成
採用難に悩む中小企業は多いですが、そもそも求人票の文面がありきたりで目に留まらないというケースも少なくありません。
AIに「こういう会社で、こういう仕事内容で、こういう人に来てほしい。応募したくなるような求人文を書いて」と伝えれば、自社の強みを活かした文面を提案してくれます。
自分では当たり前すぎて気づかない会社の魅力を、AIが言語化してくれることがあります。
AIを使うときの3つの注意点
便利な道具だからこそ、使い方を間違えないための注意点があります。
注意1:AIの回答は必ず確認する
AIは「もっともらしい嘘」をつくことがあります。これは「ハルシネーション」と呼ばれる現象で、存在しない情報や間違った数字をさも事実のように回答することがあります。
法律、税金、医療など正確性が求められる情報については、AIの回答をそのまま信用せず、必ず自分で確認するか、専門家に相談してください。AIの回答はあくまで「参考情報」や「たたき台」として扱うのが正しい使い方です。
注意2:機密情報や個人情報の扱いに気をつける
AIサービスに入力した内容は、サービスの改善に使われる場合があります。お客さんの個人情報、契約の具体的な金額、社内の人事情報など、外部に出てはいけない情報はAIに入力しないようにしましょう。
有料プランを使えば、入力データが学習に使われない設定が可能なサービスもあります。業務で本格的に使う場合は、有料プランへの切り替えを検討してください。
注意3:AIに丸投げしない
「全部AIに任せよう」という姿勢は危険です。AIが生成した文章をそのまま使うと、自社の個性が失われ、どこの会社が書いたかわからない無味乾燥な内容になりがちです。
AIはあくまで下書きや素材を作る道具です。最終的に「自分たちの言葉」に仕上げる作業は必ず人間が行ってください。
まずは1つだけ試してみる
ここまで読んで「意外と簡単そうだ」と思った方もいれば、「やっぱりよくわからない」と感じた方もいるかもしれません。
どちらの場合でも、まずは1つだけ試してみてください。おすすめはメールの下書きです。理由は、毎日やる作業だから効果を実感しやすいこと、失敗しても修正が簡単なこと、5分で試せることの3つです。
ChatGPTなら https://chat.openai.com 、Claudeなら https://claude.ai にアクセスしてアカウントを作るだけで、今日から使えます。
AIは使い始めるまでのハードルが一番高く、使い始めたら「なんでもっと早く使わなかったんだ」と感じるタイプの道具です。まずは一度触ってみてください。
もっと活用したい方へ
この記事で紹介したのは、AI活用のほんの入口です。使い慣れてくると、「こんな使い方もできるのでは」とアイデアが湧いてきます。
さらに詳しい活用方法については、以下の記事も参考にしてください。
AIで質の高い文章を書きたい方は「Claudeで記事作成するコツ」、ChatGPTとClaudeのどちらを使うか迷っている方は「ClaudeとChatGPTの違いを比較」、議事録や翻訳など業務全般で使いたい方は「Claudeで業務効率化」をご覧ください。
「自社でどう活用すればいいかわからない」「社内で使い始めたいけど進め方に迷っている」という場合は、マスタング株式会社までお気軽にご相談ください。御社の業務内容に合わせた具体的な活用方法をご提案します。


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