
「競合他社を調べてレポートにまとめて」「この業界の最新動向を整理して」——こうした調査系の依頼を、AIにまるごと任せられる時代が来ています。
Anthropicが提供するAIアシスタント「Claude」のリサーチ(Research)機能は、ユーザーの質問を受けて自動的にWebを何度も検索し、複数の情報源を統合して調査レポートを作成してくれる機能です。2025年4月にベータ版として登場し、同年6月にはProプランにも開放されました。
この記事では、リサーチ機能の仕組み・使い方・料金プラン別の対応状況・中小企業での活用シーン・ChatGPTやGeminiとの違いまで、初めての方にもわかりやすく解説します。
Claudeのリサーチ機能とは
リサーチ機能は、通常のWeb検索(1〜2回の検索で回答する機能)とはまったく異なります。
通常のチャットでは「○○とは?」と聞くと、Claudeが1回検索して答えを返します。一方、リサーチ機能を使うと、Claudeは質問を小さなタスクに分解し、5回以上のWeb検索を自律的に繰り返しながら情報を集め、最終的に引用付きのレポートとしてまとめてくれます。
処理時間は通常5〜15分程度。複雑なテーマの場合は最長45分かかることもあります。
イメージとしては、「新人社員に調査を依頼する」のに近い感覚です。ただし、AIなので人件費ゼロ・数分で完了します。
通常のWeb検索とリサーチ機能の違い
| 項目 | 通常のWeb検索 | リサーチ機能 |
|---|---|---|
| 検索回数 | 1〜2回 | 5回以上(自動で繰り返し) |
| 処理時間 | 数秒〜十数秒 | 5〜15分(最大45分) |
| 回答形式 | 短い回答 | 引用付きの調査レポート |
| 情報源 | Web | Web+Google Workspace(連携時) |
| 向いている用途 | 単発の事実確認 | 市場調査・競合分析・レポート作成 |
| 利用可能プラン | Free含む全プラン | Pro・Max・Team・Enterprise |
リサーチ機能の使い方
使い方はとてもシンプルです。3ステップで完了します。
ステップ1:Web検索をオンにする
リサーチ機能を使うには、まずWeb検索が有効になっている必要があります。設定画面から「Web検索」をオンにしてください。
ステップ2:Researchボタンをオンにする
チャット画面の左下にある「Research」ボタンをクリックします。ボタンが青色になれば有効です。なお、Researchをオンにすると拡張思考(Extended Thinking)も自動的に有効になります。この2つを組み合わせることで、より深い分析が可能になります。
ステップ3:調査したい内容を入力する
あとは普通に質問するだけです。Claudeが自動的に検索計画を立て、複数回の検索を実行し、レポートを作成します。
もしResearchをオンにしているのにClaudeが通常の回答しか返さない場合は、「Claude、Researchツールを使って○○を調査してください」と明示的に指示すると確実です。
良い結果を得るためのプロンプトのコツ
リサーチ機能はプロンプト(指示文)の質で結果が大きく変わります。以下のポイントを押さえると、精度の高いレポートが返ってきます。
具体的なテーマと調査範囲を明示する。「AI業界について調べて」ではなく、「2025年の日本国内におけるAIスタートアップの資金調達動向を調査して」のように絞り込みましょう。
出力形式を指定する。「エグゼクティブサマリー・市場規模・主要プレーヤー・今後の予測の4セクションでまとめて」のように構成を指定すると、そのまま社内資料に使えるレポートが返ってきます。
言語を指定する。 日本市場の調査なら日本語で指示、グローバルな技術動向なら英語で指示した方が、情報源の幅が広がります。「英語の情報源を調査して、日本語でレポートを作成して」という指定も可能です。
Google Workspace連携でさらに便利に
リサーチ機能は、Googleドライブ・Gmail・Googleカレンダーと連携させることで、さらに強力になります。
たとえば「先週の会議の議事録をまとめ、関連するフォローアップメールからやるべきことを抽出して」と依頼すると、Claudeがメール履歴やGoogleドライブ内のドキュメントを横断的に検索しながらレポートを作成します。
つまり、社内の情報とWeb上の最新情報を組み合わせた調査ができるということです。「自社の過去データ×業界の最新動向」を掛け合わせたレポートは、これまで社員が半日〜1日かけていた作業に相当します。
連携の設定は、Claudeの設定画面から各Googleサービスを接続するだけで完了します。データは第三者と共有されず、会話を削除すれば使用されたデータも削除されます。
料金プラン別の対応状況
| プラン | 月額 | リサーチ機能 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Free | 無料 | ✕ 使えない | 通常のWeb検索のみ |
| Pro | $20(約3,000円) | ○ 使える | 2025年6月から対応 |
| Max 5x | $100(約15,000円) | ○ 使える | Proの5倍の利用枠 |
| Max 20x | $200(約30,000円) | ○ 使える | Proの20倍の利用枠 |
| Team | $30/人 | ○ 使える | チーム管理機能付き |
| Enterprise | 要問合せ | ○ 使える | セキュリティ強化版 |
注意点:リサーチ機能は通常のチャットよりもトークン消費が大きく、1回の調査で通常メッセージの5〜10倍のトークンを使うことがあります。チャット・Claude Code・Coworkと利用枠は共有なので、頻繁に使う方はMaxプランも検討してみてください。
→ 関連記事:Claude Maxプランとは?Proとの違い・料金・向いている人
中小企業での活用シーン5選
1. 競合他社の調査レポート作成
「○○業界の主要5社について、サービス内容・価格帯・強みを比較表でまとめて」と依頼するだけで、数分で比較レポートが完成します。営業資料や経営会議の事前準備に使えます。
2. 新規事業・新サービスの市場調査
「埼玉県北部エリアでのドローン点検サービスの市場規模と競合状況を調査して」のように、地域×業種で絞った調査も可能です。補助金申請時の事業計画書の根拠データとしても活用できます。
3. 採用活動の情報収集
「運送業界の2025年の有効求人倍率と、他社の待遇条件の傾向をまとめて」と依頼すれば、求人票の見直しや採用戦略の参考資料が手に入ります。
4. 法改正・制度変更の影響調査
「2024年問題(物流の働き方改革)が中小運送会社に与える影響と対応策をレポートにして」のような依頼も得意です。情報が散在しがちな法改正の影響を、1本のレポートに整理してくれます。
5. ブログ記事やSEOコンテンツのリサーチ
「○○というキーワードの検索上位10記事の構成と切り口を分析して」と依頼すれば、競合記事の調査が数分で完了します。記事の企画立案の時間を大幅に短縮できます。
ChatGPT・Geminiの「Deep Research」との違い
OpenAIのChatGPTとGoogleのGeminiにも、同様の深掘り調査機能「Deep Research」があります。Claudeのリサーチ機能と何が違うのか、比較してみましょう。
| 項目 | Claude Research | ChatGPT Deep Research | Gemini Deep Research |
|---|---|---|---|
| 処理時間 | 5〜15分 | 5〜30分 | 数分〜10分程度 |
| レポートの特徴 | 実用的・バランス重視 | 詳細・網羅的 | 背景情報が豊富 |
| 社内データ連携 | Google Workspace対応 | 一部対応 | Google Workspace対応 |
| 日本語精度 | 高い(改善中) | 高い | 高い |
| 引用・出典表示 | 明確に表示 | 明確に表示 | 明確に表示 |
| 利用可能プラン | Pro以上($20〜) | Plus以上($20〜) | Advanced($19.99〜) |
Claudeの強みは、実用的な時間で、実用的な深さの回答を返すバランスの良さです。学術的に極めて詳細な分析が必要ならChatGPT、幅広い背景情報が欲しいならGemini、ビジネスの意思決定に使いやすいレポートが欲しいならClaudeという使い分けが現実的です。
また、Claudeはコネクタ機能でSlack・Notion・Googleドライブなど多数のアプリと連携できるため、社内データを含めた横断調査は他社より一歩進んでいます。
リサーチ機能を使うときの注意点
1. 出力内容は必ず確認する
AIが作成したレポートには、事実と異なる情報が含まれる可能性があります。特に数値データや固有名詞は、引用元のリンクをクリックして原典で確認する習慣をつけてください。
2. トークン消費が大きい
リサーチ機能は通常の5〜10倍のトークンを消費します。Proプランでは1日に何度もリサーチを走らせると、5時間の利用枠を早く使い切る可能性があります。重要な調査に絞って使うのがおすすめです。
3. 機密情報の取り扱いに注意
Google Workspace連携を使う場合、Claudeが社内メールやドキュメントの内容を参照します。機密性の高い情報を扱う場合は、Teamプラン以上での利用を推奨します。会話を削除すれば参照データも削除されますが、社内のセキュリティポリシーとの整合性は事前に確認してください。
4. 日本語の社内ファイル検索はまだ発展途上
Googleドライブ内の日本語ファイル名の検索精度は、まだ完璧ではありません。ファイル名に英数字を含めるなど、検索されやすい工夫をしておくと精度が上がります。
5. リサーチ結果のエクスポートに制約あり
現時点では、リサーチ結果をそのまま別のチャットに連携する機能はありません。Googleドライブへのエクスポートやコピー&ペーストで対応する形になります。
当社がリサーチ機能に注目する理由
私たち株式会社マスタングは、埼玉県北部の中小企業を中心にWeb制作やAI活用のサポートを行っています。
中小企業にとって「調査」は意外とコストがかかる業務です。新規の取引先を調べる、業界動向をまとめる、補助金の情報を集める——これらは社長や少数の社員が合間に行うことが多く、まとまった時間を確保しにくいのが実情です。
Claudeのリサーチ機能を使えば、こうした調査業務を「5分で依頼→15分でレポート完成」という流れに変えられます。月額$20のProプランだけで利用できるため、中小企業にとっても現実的な投資です。
今後、MCP(Model Context Protocol)の普及によって連携できるアプリがさらに増えれば、「社内のあらゆるデータ×最新のWeb情報」を掛け合わせた調査がますます簡単になるでしょう。AIを「情報収集の右腕」として活用する時代は、もう始まっています。
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