生成AIでチャットボットを作って運用してみた|導入から効果まで実践レポート

コラム

「問い合わせ対応に時間を取られている」「同じ質問に何度も答えている」——そんな悩みを解決する手段として、生成AIを活用したチャットボットが注目されています。

当社マスタングでは、実際にクライアント向けに生成AIチャットボットを開発・運用しています。本記事では、保育園の保護者向け問い合わせ対応チャットボットを例に、開発から運用までのリアルな体験をお伝えします。

なぜ生成AIでチャットボットを作ったのか

今回のクライアントは保育園でした。園のスタッフが抱えていた課題は明確でした。

保護者からの問い合わせが日常業務を圧迫していたのです。「明日の持ち物は?」「運動会は何時から?」「延長保育の申し込み方法は?」といった質問が毎日のように届きます。内容は園のしおりやお知らせに書いてあることがほとんどですが、保護者も忙しく、すぐに確認できないのが実情です。

従来の対応では、電話や連絡帳で個別に回答していました。同じ質問に何度も答える必要があり、スタッフの負担になっていました。

そこで、よくある質問に24時間自動で回答するチャットボットを提案しました。生成AIを使えば、単なるFAQボットではなく、自然な文章で柔軟に回答できるシステムが構築できます。

どんな仕組みで作ったか

今回構築したチャットボットの技術構成を紹介します。

LINEとの連携

保護者が普段使っているLINEをインターフェースに採用しました。新しいアプリをインストールしてもらう必要がなく、導入のハードルを下げられます。LINE公式アカウントを開設し、メッセージを受け取るとチャットボットが自動で応答する仕組みです。

ナレッジベースの構築

チャットボットが参照する情報源として、園のしおり、年間行事予定、月間おたより、給食献立表などを登録しました。これらの情報をもとに回答を生成するため、園のルールに沿った正確な情報を提供できます。

データはMarkdown形式で管理し、園のスタッフでも簡単に更新できるようにしました。新しいお知らせが出たら、管理画面から登録するだけで、すぐにチャットボットの回答に反映されます。

生成AIによる回答生成

回答の生成には、xAI社のgrok-4-1-fastを採用しました。高速かつ軽量なモデルで、問い合わせ対応のような短い回答生成に適しています。

単純にAIに質問を投げるのではなく、まずナレッジベースから関連情報を検索し、その情報をもとに回答を生成する仕組みにしています。これにより、AIが勝手な情報を作り出す「ハルシネーション」を防ぎ、園の公式情報に基づいた回答を返せます。

キャッシュによる効率化

同じ質問には同じ回答を返せばよいため、一度生成した回答をキャッシュ(一時保存)する仕組みを導入しました。「持ち物は?」「開園時間は?」といった頻出の質問は、キャッシュから即座に回答を返します。

これにより、応答速度が向上するだけでなく、API呼び出し回数を削減できます。実際の運用では、約7割の質問がキャッシュから回答されています。

実際の運用でわかった効果

運用を開始してから、いくつかの効果が確認できました。

スタッフの負担軽減

導入前は1日に何件も届いていた定型的な問い合わせが、チャットボットで自動対応されるようになりました。スタッフは個別対応が必要な相談に集中できるようになり、業務効率が改善しました。

保護者の利便性向上

24時間いつでも質問できる点が保護者に好評でした。夜間や休日に「明日の準備物」を確認したいときでも、すぐに回答が得られます。電話をかける心理的ハードルもなく、気軽に利用されています。

回答の一貫性

人が対応すると、担当者によって回答のニュアンスが変わることがあります。チャットボットは常にナレッジベースに基づいて回答するため、誰が質問しても同じ情報を得られます。

運用して分かった注意点

一方で、運用を通じて見えてきた課題や注意点もあります。

ナレッジの整備が重要

チャットボットの回答品質は、登録されているナレッジの質に依存します。情報が古かったり、曖昧な記述があったりすると、回答の精度が下がります。運用開始前にナレッジを整理し、運用中も定期的に更新する体制が必要です。

回答できない質問への対応

すべての質問に回答できるわけではありません。ナレッジにない情報や、個別の事情を踏まえた相談には対応できません。そのような場合は「園に直接お問い合わせください」と案内するよう設計しました。チャットボットの限界を明確にし、適切にエスカレーションする仕組みが重要です。

個人情報の取り扱い

保護者が質問の中に園児の名前や個人情報を含めてしまうケースがあります。今回は、個人情報を含む質問には回答せず、個別連絡を促すようにしました。チャットボットで個人情報を扱わない設計にすることで、セキュリティリスクを低減しています。

導入時の案内が大切

便利なツールも、使われなければ意味がありません。保護者への案内方法を工夫し、「こんな時に使ってください」という具体例を示すことで、利用率が向上しました。

生成AIチャットボットが向いているケース

今回の経験をもとに、生成AIチャットボットが効果を発揮しやすいケースを整理します。

同じ質問が繰り返される業務に向いています。FAQ対応、問い合わせ窓口、社内ヘルプデスクなど、定型的な質問が多い場面で効果を発揮します。

参照すべき情報が明確な場合にも適しています。マニュアル、規約、製品情報など、回答の根拠となる情報源がある場合、正確な回答を生成しやすくなります。

即時対応が求められるが人手が足りない場面でも有効です。営業時間外の問い合わせや、繁忙期の対応など、人的リソースを補完する役割を果たします。

逆に、複雑な判断が必要な相談や、感情的なケアが求められる対応には向いていません。チャットボットはあくまで定型的な問い合わせの一次対応として位置づけ、必要に応じて人間にエスカレーションする設計が重要です。

マスタングのチャットボット開発

当社マスタングでは、生成AIを活用したチャットボット開発を承っています。

今回紹介した保育園の事例のように、業種や用途に合わせたカスタム開発が可能です。LINE連携、Webサイト埋め込み、社内システム連携など、お客様の環境に合わせた構成をご提案します。

「チャットボットで業務を効率化したい」「まずは相談だけしたい」という方も、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

生成AIを活用したチャットボットは、問い合わせ対応の効率化に大きな効果を発揮します。

今回の保育園の事例では、LINE連携とナレッジベース、grok-4-1-fastを組み合わせたシステムを構築しました。運用の結果、スタッフの負担軽減と保護者の利便性向上を実現できました。

一方で、ナレッジの整備や回答できない質問への対応など、運用面での工夫も重要です。チャットボットの特性を理解し、適切な設計と運用体制を整えることで、効果を最大化できます。

自社の業務にチャットボットが活用できるか検討されている方は、まずは「どんな質問が多いか」「参照できる情報源はあるか」を整理してみてください。

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