
ChatGPTを使い始めてみたものの、「思っていたのと違う答えが返ってくる」「何回やっても微妙な文章しか出ない」という経験はありませんか?
「AIってこんなものか」と思って使うのをやめてしまう人もいます。あるいは、周りが「ChatGPT便利だよ」と言っているのに、自分だけうまくいかないと感じている人もいるかもしれません。
実はこれ、AIの性能の問題ではなく、指示の出し方の問題であることがほとんどです。
AIへの指示(プロンプトと呼びます)は、仕事の依頼と同じです。新人社員に「いい感じの資料を作って」と言っても期待通りのものは出てこない。でも「来週の会議用に、先月の売上データを表にまとめて、A4で1枚に収めて」と言えば、かなり近いものが出てくる。AIも全く同じです。
この記事では、AIへの指示でよくある失敗パターンを3つ紹介し、それぞれ「こう変えれば改善する」という具体例をお見せします。
失敗パターン1:指示が短すぎる
一番多い失敗がこれです。
ダメな例: 「ブログ記事を書いて」
これだけでは、AIは何を書けばいいかわかりません。テーマは?読者は誰?何文字くらい?どんなトーンで?すべてAIが勝手に判断するので、「なんとなくそれっぽいけど、全然使えない」文章が出てきます。
改善した例: 「中小企業の社長向けに、ホームページのリニューアルを検討すべきタイミングについてのブログ記事を書いてください。文字数は1500文字程度。口語調で、専門用語は使わず、読みやすい文体でお願いします。」
この2つの指示で出てくる文章の質は、まったく違います。
覚えておきたいポイント: AIへの指示には最低でも「誰に向けて」「何について」「どんな形式で」「どんなトーンで」の4つを入れる。これだけで出力の質は劇的に変わります。
失敗パターン2:一度に全部やらせようとする
これもよくある失敗です。
ダメな例: 「来月のセミナーの案内文を作って。内容はAIの業務活用について。メール用とチラシ用と、SNS投稿用の3パターン。ついでにセミナーの構成案も考えて。」
1回の指示で4つも5つも頼むと、どれも中途半端になります。AIは指示が長くなるほど、途中の条件を取りこぼしやすくなります。
改善した例:
まず1回目の指示: 「来月開催するセミナーの案内メールを作ってください。テーマはAIの業務活用。対象は中小企業の経営者。参加費無料、オンライン開催、1時間程度の内容です。」
次に2回目の指示: 「先ほどの案内メールの内容を元に、SNS投稿用に100文字以内で要約してください。」
覚えておきたいポイント: AIとのやり取りは「一問一答」が基本です。大きなタスクは分割して、1つずつ頼む。前の回答を踏まえて次の指示を出す。これだけで精度が格段に上がります。
失敗パターン3:「いい感じに」で済ませる
「いい感じにまとめて」「もっとちゃんとした文章にして」——こういう曖昧な指示を出していませんか?
人間同士なら「いい感じに」でなんとなく伝わることもあります。でもAIは空気を読めません。「いい感じ」の基準がわからないので、AIなりの「いい感じ」を返してくる。それがあなたの「いい感じ」と一致する保証はどこにもありません。
ダメな例: 「この文章をもっといい感じにして」
改善した例: 「この文章を、以下の方向で修正してください。①文末を『です・ます』調に統一する ②1文を60文字以内に短くする ③専門用語は使わず平易な表現に置き換える」
覚えておきたいポイント: 「いい感じ」「ちゃんとした」「もう少し」は全部NG。具体的に「何を」「どう」変えてほしいのかを言葉にする。 これはAIへの指示に限らず、人への仕事の依頼でも同じことです。
実は、AIへの指示が上手い人は、人への仕事の依頼も上手いことが多いです。逆に言えば、AIへの指示を練習することで、普段の仕事のコミュニケーション力も上がる。一石二鳥です。
すぐに使える「万能テンプレート」
上の3つのポイントを全部まとめた、コピペで使える指示のテンプレートを紹介します。
【役割】あなたは〇〇の専門家です。
【タスク】以下のテーマについて、△△を作成してください。
【条件】 ・読者(対象):□□ ・文字数:約〇〇文字 ・文体:□□調 ・含めてほしい内容:□□ ・避けてほしいこと:□□
【出力形式】□□の形式で出力してください。
たとえば、ブログ記事を書かせるなら:
【役割】あなたは中小企業向けのWebマーケティングの専門家です。
【タスク】以下のテーマでブログ記事を作成してください。 テーマ:ホームページを5年以上リニューアルしていない会社が見直すべきポイント
【条件】 ・読者:従業員10〜30人規模の中小企業の社長 ・文字数:約2000文字 ・文体:口語調で、読みやすく ・含めてほしい内容:具体的なチェックポイント3つ以上 ・避けてほしいこと:専門用語、抽象的な表現
【出力形式】見出し付きのブログ記事形式で出力してください。
このテンプレートを使うだけで、「なんか違う」が大幅に減ります。
もう1つのコツ:「1回で完成させようとしない」
最後に、意外と見落とされがちなコツを1つ。
AIとのやり取りは、最初の1回で完璧を目指さなくていいということです。
最初の出力を見て「ここは良いけど、ここが違う」と思ったら、追加で指示を出せばいい。「2段落目の内容をもう少し具体的にして」「最後のまとめをもっと短くして」「トーンをもう少しカジュアルにして」——こういう修正指示を繰り返すことで、どんどん理想に近づきます。
これは人間の部下と同じで、1回の指示で100%の成果物が出てくることはまずありません。フィードバックを重ねて仕上げていくのが普通です。
AIの場合、このフィードバックが即座に反映されるので、3〜4回のやり取りで十分使える文章になることがほとんどです。「一発で完璧を期待して、出てこないから使えないと判断する」——これが一番もったいない使い方です。
「AIが使えない」のではなく「指示が足りない」だけ
AIに指示を出すのは、最初は面倒に感じるかもしれません。「こんなに細かく書くなら、自分で書いたほうが早い」と思うこともあるでしょう。
でも、テンプレートに慣れてしまえば、指示を書くのは1〜2分。そこから先の作業をAIが数十秒でやってくれます。トータルで見れば、圧倒的に時間の節約になります。
大事なのは、AIは「察してくれる部下」ではなく「指示通りに動く優秀なアシスタント」だと思うこと。 的確に指示を出せば、的確に応えてくれます。
まずは次にAIを使うとき、「誰に」「何を」「どんな形で」の3つだけ意識してみてください。それだけで、返ってくる答えの質が変わるはずです。
AIは、使い方がわかれば確実に仕事を楽にしてくれる道具です。「使えない」と諦める前に、指示の出し方を少し変えてみる。それが、AI活用の最初の一歩です。
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