
Web制作会社をやっていると、問い合わせフォームから毎日のように営業メールが届きます。
SEO対策の提案、Web広告の運用代行、AI導入支援、補助金申請のサポート、動画制作、人材紹介……。1日に数通、多い日は10通近く届くこともあります。
2025年の1年間で、うちの会社に届いた営業メールを数えてみたら、ざっと300通以上ありました。そのうち100通をランダムに選んで、全部ちゃんと読んでみたんです。
迷惑だなと思いながら読み始めたんですが、途中から気づいたことがありました。**これ、自分たちのマーケティングの反面教師として最高の教材じゃないか、**と。
この記事では、営業メールを100通読んで見えてきたパターンと、そこから得た「やってはいけない営業・マーケティング」の教訓をお伝えします。
100通の内訳
まず、どんな業種から届いたかを分類してみました。
一番多かったのはSEO対策・MEO対策の提案で、100通中28通。次にWeb広告の運用代行が19通。ホームページ制作・リニューアルが15通。人材紹介・採用支援が12通。動画制作が9通。AI・DX関連が8通。その他(補助金、オフィス移転、通信回線など)が9通。
うちはWeb制作会社なのに、Web制作の営業が15通も来ているというのが何とも言えません。こちらのホームページを見れば同業者だとわかるはずですが、見ていないということです。
93通に共通していた「3つの特徴」
100通のうち、読んで5秒以内に「これは読まなくていいな」と判断したものが93通ありました。この93通には、ほぼ例外なく以下の3つの特徴がありました。
1. うちの会社のことを何も知らない
93通のうち、うちの会社名すら書いていないメールが71通。テンプレートをそのまま送っていることが明らかです。
「貴社のホームページを拝見し」と書いてあるメールもありましたが、その直後に「SEO対策がまだお済みでないようですので」と続く。 うちのブログにはSEO関連の記事が何本もあります。見ていないのはバレバレです。
一方で、「御社のブログ記事『○○』を読みました。あの記事で触れていた課題について、こういうアプローチもあります」と書いてあったメールが1通だけありました。あのメールには返信しました。
2. 売りたいものの話しかしない
「弊社のサービスは」「弊社の強みは」「弊社の実績は」。93通のほとんどが、自社の話で埋め尽くされていました。 読んでいる側の課題や状況には一切触れない。
これ、冷静に考えると異常なことです。初対面の相手にいきなり「私はこういう人間で、こういう実績があって、こういうことができます」と一方的に話し続けたら、誰だって引きます。でも、メールだとそれをやってしまう。
読む側が知りたいのは「あなたが何をできるか」ではなく、**「私にとってどんな意味があるか」**です。この視点が抜けているメールが圧倒的に多かった。
3. 行動を急がせる
「今月末までのキャンペーン価格です」「初回無料でお試しいただけます」「まずは15分のオンラインミーティングはいかがでしょうか」。
会ったこともない相手にいきなり「15分だけお時間を」と言われても、その15分を割く理由がない。 無料だから、期間限定だから、という理由で動く経営者はほとんどいません。
急がせれば急がせるほど、「余裕がない会社なんだな」という印象を与えます。
残りの7通は何が違ったのか
100通のうち、ちゃんと最後まで読んだメールが7通ありました。そのうち2通には返信し、1通は実際にサービスを利用しました。
この7通に共通していた特徴は、93通の真逆でした。
うちの会社のことを調べた形跡がある。 会社名だけでなく、ブログの記事やサービス内容に触れている。「御社が○○業界のお客さんに対してやっていることと、弊社が提供しているサービスに接点がありそうだと思いました」。こういう一文があるだけで、読む姿勢がまったく変わります。
自社の売り込みではなく、こちらに役立つ情報を先に出している。 ある会社は「○○業界のSEOトレンドについてまとめた資料を作りました。よかったら参考にしてください」とPDFを添付していました。売り込みの前に、まず相手に価値を提供する。これだけで印象が全然違う。
急がせない。 「もしご興味があれば、いつでもご連絡ください」で終わっている。押し売り感がゼロ。だからこそ、逆に「一度話を聞いてみようかな」という気持ちになりました。
営業メールを「送る側」はどう思っているのか
これだけダメな営業メールが多い理由を考えてみました。
おそらく、送る側は**「数を打てば当たる」と思っている**のだと思います。100通送って1件返信があればOK。だから1通1通にかける手間は最小限にする。テンプレートを作って、企業リストに片っ端から送る。1日200通、300通。
ビジネスモデルとしては成立するのかもしれません。でも、送られる側から見ると、**その会社の第一印象は「テンプレを一斉送信してくる会社」**です。その印象を覆すのは相当難しい。
実は、うちにも以前同じ会社から3ヶ月連続で営業メールが届いたことがあります。3通とも文面がほぼ同じ。違うのは冒頭の時候の挨拶だけ。「先月もこの文面見たな」と思った瞬間、その会社に対する信頼はゼロになりました。
逆に言えば、ちゃんと相手を調べて、相手に合わせた内容を書くだけで、上位7%に入れるということです。ほとんどの会社がやっていないからです。これは営業メールに限らず、あらゆるビジネスコミュニケーションに言えることだと思います。
これは営業メールだけの話ではない
ここまで読んで、「うちは営業メールなんか送らないから関係ない」と思った方もいるかもしれません。
でも、この話はホームページやブログにもそっくりそのまま当てはまります。
あなたの会社のホームページ、「自社の話」ばかりになっていませんか。「弊社は」「弊社の強みは」「弊社の実績は」。訪問者が知りたいのは、**「自分の悩みや課題を、この会社が解決してくれるかどうか」**です。
ブログ記事も同じです。「弊社のサービス紹介」ばかり書いていても、検索から人は来ません。お客さんが検索している言葉で、お客さんの疑問に答える記事を書く。先に価値を提供して、信頼を積み上げる。 その結果として問い合わせが来る。
93通の営業メールがやっていたことと、成果の出ないホームページがやっていることは、構造が同じなのです。
まとめ:「読まれない営業メール」から学べること
100通の営業メールを読んで得た結論をまとめます。
相手を知らずに送ったメッセージは読まれない。 これはメールでもホームページでもブログでも同じです。「誰に向けて書いているか」が伝わらないメッセージは、無視されます。
自分の話ばかりするメッセージは刺さらない。 相手の立場に立って、「この情報は相手にとってどんな意味があるか」を考えて発信する。
売り込みの前に、まず信頼を作る。 役立つ情報を先に出す。急がせない。押し売りしない。
毎日届く営業メールは、読まずに捨てるのが普通です。でも一度まとめて読んでみると、「自社の発信が同じことをやっていないか」のチェックリストになります。 意外な発見があるかもしれません。
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