中小企業の「DX」、何から始める?ITに詳しくなくてもできる3つのこと

DX化

「うちもDXしないといけないらしい」「でも何をすればいいのかわからない」——そんな声を、地方の中小企業の経営者から本当によく聞きます。

正直に言えば、「DX」という言葉が問題をややこしくしています。DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術で事業を変革すること。定義はそうなのですが、従業員10人の会社にとっては「何のことかわからない」というのが自然な反応です。

この記事では、DXを難しく考えずに、**「ITを使って面倒な仕事を減らすこと」**として捉え直します。ビジョン策定もロードマップ作成も不要。まず明日からできる3つのことを紹介します。

DXの正体は「面倒な作業をITで楽にすること」

DXの本質はシンプルです。今、手作業でやっている面倒な仕事を、ITの力で速くする、正確にする、なくす。それだけです。

「全社のビジネスモデルを変革する」といった大きな話は、100人以上の会社が考えることです。10〜30人の中小企業がまずやるべきは、毎日の業務で「無駄に時間がかかっている作業」をひとつずつ減らしていくこと。

それがDXの第一歩であり、実はそれ以上のことをやる必要はない段階の会社がほとんどです。

まず確認:こんな状態になっていませんか?

以下の項目に1つでも当てはまれば、ITで改善できる余地があります。

見積書や請求書をExcelで手作業で作っている。 数字の入力ミスがたまに起きる。月末にまとめて作業するので残業になる。

顧客リストがExcelファイルか、そもそも紙で管理されている。 担当者が辞めたら引き継ぎができない。「あのお客さん、前回いつ連絡したっけ?」がわからない。

社内の情報共有がメールか口頭のみ。 「言った・言わない」が発生する。過去のやり取りを探すのに時間がかかる。

紙の書類が多く、ハンコをもらうために出社が必要。 日報、稟議書、経費精算などが紙で回っている。

毎月同じようなレポートや集計作業を手作業でやっている。 売上集計、在庫確認、勤怠集計などで毎月何時間も使っている。

これらは全て、無料〜月額数千円程度のITツールで改善できる可能性があります。

明日からできる3つのこと

1. 紙とExcelの手作業をクラウドツールに置き換える

最も効果が大きく、始めやすいのがこの領域です。

たとえば、見積書・請求書の作成。Excelで毎回テンプレートを開いて手入力しているなら、クラウド型の請求書サービスを使えば、顧客情報を一度登録するだけで、次回から自動で反映されます。入力ミスも減り、月末の集中作業がなくなります。

勤怠管理も同様です。紙のタイムカードやExcel管理をクラウド勤怠システムに変えるだけで、集計作業がゼロになります。スマートフォンから打刻できるものもあるので、現場に直行直帰の社員がいる会社には特に有効です。

いきなり全業務を切り替える必要はありません。「毎月繰り返している」「手作業が多い」「ミスが起きやすい」——この3つの条件が揃っている業務から1つだけ選んで試してみてください。

Excelでの管理に限界を感じている方は「Excel管理の限界を感じたら|システム化を検討すべきサインと進め方」も参考にしてください。

2. 社内の情報共有をチャットツールに移行する

社内の連絡手段がメールと口頭だけの場合、チャットツールを導入するだけで劇的に変わります。

メールは「○○様 お疲れ様です」から始めないといけない空気があり、1通送るのに時間がかかります。チャットツールなら「明日の件、14時に変更でお願いします」と一言で済みます。

Google ChatやMicrosoft Teams、チャットワークなど、無料または低コストで使えるツールが複数あります。全社導入がハードルが高ければ、まず1つの部署やプロジェクトだけで試すのでも十分です。

情報共有が改善されると、「言った・言わない」問題が減り、過去のやり取りを検索で探せるようになります。これだけで1日に何十分もの時間が浮く会社は少なくありません。

3. 生成AIを日常業務で使い始める

ChatGPTやClaudeといった生成AIは、無料で使い始めることができます。

メールの下書き、議事録の整理、社内文書のたたき台作成、求人票の文面作成——こうした「文章を書く」仕事にAIを活用するだけで、1日の作業時間を確実に短縮できます。

「AIなんてうちには関係ない」と感じるかもしれません。ですが、AIは大企業のための技術ではなく、むしろ人手が足りない中小企業にこそ効果が大きいツールです。1人が2人分の仕事をしなければならない会社こそ、AIの恩恵を受けられます。

AIの具体的な活用方法については「『AIに仕事を奪われる』は本当か?中小企業が今日から始められるAI活用の第一歩」で詳しく解説しています。

「やらなくていいこと」を知っておく

DXに関する情報を調べると、「ロードマップを策定する」「DX推進チームを設置する」「経営ビジョンを再定義する」といったアドバイスが出てきます。

これらは従業員が100人を超える企業の話です。10〜30人の会社が最初にやるべきことではありません。

小さな会社のDXで大事なのは、大きな計画を立てることではなく、小さな改善を1つずつ実行することです。

紙の業務を1つだけクラウドに移す。社内連絡にチャットを使い始める。AIでメールの下書きを作ってみる。どれも今日明日で始められます。

逆にやってはいけないのは、「DXだから」と高額なシステムをいきなり導入することです。使い方がわからず放置される、現場の業務に合わなかった——こうした失敗は、事前の小さな試行錯誤を飛ばした結果です。

よくある「うちには無理」への回答

「ITに詳しい社員がいない」 → 詳しい社員がいなくても使えるのが、今のクラウドツールとAIの強みです。スマートフォンを使える人なら操作できるものがほとんどです。

「高齢の社員が多くて新しいツールを嫌がる」 → 全社一斉導入ではなく、若手社員2〜3人から始めて、便利さを見せるのが効果的です。「あの人がやってるなら自分もやってみよう」という流れが生まれれば、自然に広がります。

「お金をかける余裕がない」 → この記事で紹介した3つのことは、いずれも無料〜月額数千円で始められます。むしろ、手作業に費やしている人件費の方がはるかに高くつきます。

「うちみたいな小さい会社にDXは必要ない」 → 小さい会社だからこそ効果が出やすいのがDXです。大企業は部署間の調整に何ヶ月もかかりますが、社長が「これ使ってみよう」と言えば翌日から変わるのが中小企業の強みです。

まとめ:DXは「面倒を1つ減らす」ことから

DXと聞くと大げさに感じますが、やることはシンプルです。

毎日やっている面倒な作業を1つ見つける。それをITツールかAIで楽にする。うまくいったら次の面倒を1つ減らす。

この繰り返しが、結果として会社全体のDXになっています。難しく考える必要はありません。

「うちの場合、何から手をつければいいかわからない」という場合は、マスタング株式会社までお気軽にご相談ください。御社の業務内容をお聞きした上で、最も効果が出やすい改善ポイントをご提案します。

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