
「うちのホームページ、そろそろ作り直した方がいいかな」——そう感じている経営者の方は多いと思います。
ただし、制作会社の立場から正直に言わせてください。ホームページのリニューアルが必要ないケースもあります。
問い合わせが来ない、アクセスが少ないといった悩みの多くは、今のホームページを部分的に修正するだけで改善できます。修正で済む問題にリニューアルで対応するのは、壁紙の張り替えで済むのに家を建て替えるようなものです。
※フォームの改善や導線の見直し、SEO対策といった「今のサイトのまま改善できること」は別記事(「ホームページから問い合わせが来ない?原因と今すぐできる改善策」)で詳しく解説しています。
この記事では、部分修正では対応しきれない「構造的な問題」を抱えているかどうかの判断基準と、リニューアルを決めた場合に失敗しない進め方を解説します。
リニューアルしなくていい3つのケース
まず、リニューアルが不要なケースを紹介します。制作会社がこれを言うのは商売上不利かもしれませんが、不要なリニューアルを勧めることはお互いにとって良い結果になりません。
ケース1:「デザインが気に入らない」だけの場合
「なんとなく古い気がする」「もっとおしゃれにしたい」という理由だけでリニューアルするのは、費用対効果が悪いことが多いです。
ホームページの目的は、見た目をきれいにすることではなく、問い合わせや売上につなげることです。デザインが多少古くても、お客さんから「ホームページを見て連絡しました」と言われているなら、今のサイトは機能しています。
その場合は、写真を新しくする、キャッチコピーを見直す、といった部分修正で十分です。
ケース2:改善施策をまだ試していない場合
「問い合わせが来ないからリニューアルしよう」と判断する前に、今のサイトでできる改善を先に試すべきです。
フォームの入力項目を減らす、問い合わせボタンを目立たせる、Googleビジネスプロフィールを整備する、ブログ記事で集客する——こうした施策を一通り実行した上で、それでも成果が出ないのであれば、サイトの構造自体に問題がある可能性が高く、リニューアルの検討に進む段階です。
改善施策の具体的な方法は「ホームページから問い合わせが来ない?原因と今すぐできる改善策」で紹介していますので、まだ試していない方はそちらを先にご覧ください。
ケース3:作ってから2年以内の場合
制作からまだ2年以内であれば、よほどの事情がない限りリニューアルは早すぎます。
ホームページは公開してすぐに成果が出るものではありません。SEO対策の効果が出始めるのに3〜6ヶ月、コンテンツが蓄積されて安定したアクセスが得られるようになるまでに1年以上かかることもあります。
2年以内であれば、コンテンツの追加や内部SEO対策の強化に投資する方が費用対効果は高いです。
リニューアルが必要な5つのサイン
ここからが本題です。以下の状態に当てはまる場合は、部分修正では対応が難しく、サイトの構造自体を作り直す必要があります。
サイン1:スマートフォンにまったく対応していない
パソコン用の画面がそのまま縮小されて表示される状態です。文字が極端に小さい、横スクロールが必要、ボタンが小さすぎてタップできない——こうした問題が起きている場合です。
「少しレイアウトが崩れる」程度ならCSSの修正で対応できますが、サイト全体がパソコン画面の幅(960pxや1000px固定)で設計されている場合は、土台から作り直すしかありません。
現在、ホームページへのアクセスの7〜8割はスマートフォンからです。スマホ非対応のサイトはGoogleの検索順位でも不利になるため、この問題を抱えている場合はリニューアルの最優先事項です。
サイン2:自社で一切更新できない構造になっている
WordPressなどのCMS(更新管理システム)が入っていないHTMLだけのサイトで、お知らせの追加やブログの投稿のたびに制作会社にHTML修正を依頼しなければならない状態です。
更新のたびに費用と時間がかかるだけでなく、「面倒だから更新しなくなる」という悪循環に陥ります。結果として何年も前の情報が載ったままのホームページになり、お客さんに「この会社はまだ営業しているのだろうか」という印象を与えてしまいます。
CMSを後から追加できる場合もありますが、サイト全体の構造がCMSを前提にしていなければ、リニューアルの方がスムーズです。
サイン3:事業内容とサイトの内容が大きくズレている
創業時に作ったホームページのまま、事業の主力が変わっているケースです。
たとえば、以前は住宅の新築がメインだったが今はリフォームが主力になっている。法人向けサービスを始めたがホームページには個人向けの情報しかない。対応エリアが広がったのにサイトには旧エリアしか載っていない。
こうした場合、ページの追加や修正では追いつかず、サイト全体の構成——どんなページを用意して、どの順番で見てもらうか——から設計し直す必要があります。これはリニューアルでなければ対応できません。
サイン4:セキュリティ上の問題を抱えている
具体的には以下のような状態です。
URLが「http://」のまま(SSL未対応)で、ブラウザに「保護されていない通信」と表示される。WordPressのバージョンが古すぎてアップデートできず、セキュリティの脆弱性が放置されている。サーバーが古く、現在のPHPバージョンに対応していない。
SSL対応だけなら部分的な対処が可能ですが、CMS本体やサーバー環境が根本的に古い場合は、リニューアルと合わせてサーバー移行も行うのが現実的です。セキュリティの問題は放置するとサイト改ざんや情報漏洩のリスクがあるため、優先度は高いです。
サイン5:制作から5年以上経過し、技術的に時代遅れになっている
5年前と現在では、Webの技術もGoogleの評価基準も大きく変わっています。
2020年頃に作られたサイトでは、ページの表示速度が遅い設計になっている(画像が重い、不要なスクリプトが多い)、構造化データが未対応でGoogleに情報が正しく伝わっていない、内部のコード構造が複雑で新しい機能の追加が困難、といった問題が起きていることがあります。
「見た目が古い」だけなら部分修正で対応できますが、裏側の技術が古くなっている場合はリニューアルが適切です。5年以上経過しているなら、一度専門家に診断してもらうことをお勧めします。
リニューアルで失敗する3つのパターン
リニューアルを決めたとしても、進め方を間違えると「お金をかけたのに前より悪くなった」という結果になりかねません。よく見る失敗パターンを紹介します。
失敗1:目的を決めずにデザインから入る
「とにかくかっこよくして」「今っぽい感じで」というオーダーだけで進めると、見た目はきれいだが成果が出ないホームページになります。
リニューアルの前に決めるべきは「このホームページで何を達成したいか」です。問い合わせを月5件獲得したい、採用応募を増やしたい、既存客への情報発信を強化したい。目的が明確であれば、デザインも構成もおのずと決まります。
失敗2:既存サイトの資産を捨ててしまう
「全部ゼロから作り直す」ことにこだわると、今のホームページで検索上位に表示されているページや、アクセスを集めているブログ記事まで消えてしまいます。
リニューアル前に、Googleサーチコンソールでどのページにアクセスがあるか、どのキーワードで検索流入があるかを必ず確認しましょう。成果が出ているページは、URLもコンテンツも引き継ぐのが鉄則です。
これを怠ると、リニューアル直後にアクセスが激減するという最悪の事態を招きます。
失敗3:公開後の運用体制を決めていない
リニューアルして公開した日がゴールではなく、スタートです。
公開後にブログを更新するのは誰か。アクセス解析を定期的にチェックする担当者はいるか。問い合わせが来たときの対応フローは整っているか。
制作会社に依頼する際は、「公開後の運用サポートはどこまで含まれるか」を必ず確認してください。作って終わりの制作会社と、運用まで伴走してくれる制作会社では、1年後の成果がまったく違います。
リニューアルの進め方
リニューアルを進める際の基本的なステップを紹介します。
ステップ1:現状分析(1〜2週間)
今のホームページの状態を正確に把握します。どのページが見られていて、どのキーワードで検索流入があるかを確認し、残すべきページと不要なページを整理します。同時に、競合他社のホームページも確認して、自社に足りない要素を洗い出します。
ステップ2:目的・要件の整理(2〜4週間)
リニューアルの目的を明確にし、必要な機能やページ構成を決めます。「あれもこれも」と欲張ると予算が膨らむので、「絶対に必要なもの」と「あったらいいもの」を分けて優先順位をつけます。
ステップ3:制作会社の選定(2〜4週間)
複数の制作会社から見積もりを取り、比較検討します。価格だけでなく、自社の業種・規模への理解度、公開後のサポート体制、過去の制作実績を重視してください。
地方の中小企業であれば、地域の事情を理解している地元の制作会社に相談するのも有効な選択肢です。対面での打ち合わせがしやすく、公開後の対応スピードも違います。
ステップ4:設計・制作(1〜3ヶ月)
サイトの設計、デザイン、コーディング、コンテンツの作成を進めます。この期間中、制作会社と定期的に確認の場を設け、方向性がズレていないかをチェックします。
とくに原稿や写真の用意は自社側の作業になることが多く、ここで止まるとスケジュール全体が遅れます。制作会社と役割分担を明確にしておきましょう。
ステップ5:公開・運用開始
公開前に、旧サイトから新サイトへのURLの引き継ぎ(リダイレクト設定)を確実に行います。これを忘れると、Googleでの検索順位がリセットされてしまい、せっかく積み上げた評価が失われます。
公開後はGoogleサーチコンソールでインデックス状況を確認し、問題がないかをモニタリングします。
まとめ:リニューアルの前に「本当に必要か」を見極める
ホームページのリニューアルは大きな投資です。だからこそ、「なんとなく古いから」ではなく、明確な判断基準をもって決断してください。
まずは今のサイトでできる改善を試す。それでも解決しない構造的な問題があればリニューアルに進む。やるなら目的を明確にし、公開後の運用まで見据えて計画する。
この順番を守れば、リニューアルが「お金をかけただけ」で終わることはありません。
自社のホームページがどんな状態にあるか、リニューアルが必要か改善で十分か、判断に迷う場合はお気軽にマスタング株式会社までご相談ください。現状を診断した上で、最適な選択肢をご提案します。


コメント