人事評価ワークフローとは?中小企業が評価制度を機能させるための基本設計

コラム

「評価項目は整備したのに、人事評価がうまく回らない」——そんな悩みを抱える中小企業は少なくありません。

実は、人事評価がうまくいかない原因の多くは、評価項目ではなくワークフローにあります。誰が、いつ、何をするのか。この流れが曖昧なまま運用を始めると、評価の抜け漏れや不公平感が生じてしまいます。

本記事では、人事評価ワークフローの基本から、中小企業が陥りがちな問題、そしてワークフローを整理・改善するためのポイントを解説します。

人事評価ワークフローとは

人事評価ワークフローとは、目標設定から最終評価の確定までの一連の流れを指します。評価制度を「仕組み」として機能させるための設計図と言えます。

基本的なワークフローの流れ

一般的な人事評価ワークフローは、以下のような流れで構成されます。

まず、期初に目標設定を行います。従業員が自身の目標を設定し、上司と面談して内容を確認・承認します。次に、期中はその目標に向けて業務を遂行し、必要に応じて中間面談を実施します。期末になると、従業員が自己評価を行い、上司が一次評価を実施します。その後、部門長や人事部門による二次評価・調整を経て、最終評価が確定します。最後に、評価結果を本人にフィードバックし、次期の目標設定につなげます。

このワークフローが明確に設計されていないと、評価制度は形骸化してしまいます。

ワークフローに含めるべき要素

人事評価ワークフローを設計する際は、以下の要素を明確にする必要があります。

各ステップの担当者と役割、実施時期と期限、承認・確認のルート、差戻しが発生した場合の対応、評価結果の保管方法などです。

これらが曖昧なまま運用を始めると、後から問題が発生しやすくなります。

人事評価がうまくいかない理由はワークフローにある

「評価項目を見直したのに、不満が減らない」「評価制度を導入したが定着しない」という声をよく聞きます。その原因を探ると、評価項目ではなくワークフローに問題があるケースが多いのです。

期限が守られない

ワークフローに明確な期限が設定されていない、または設定されていても守られない場合、評価が滞ります。一部の従業員だけ評価が遅れると、全体のスケジュールに影響し、最終的にはボーナスや昇給の決定にも支障をきたします。

承認ルートが不明確

「誰が最終承認するのか」「部門間で評価のばらつきがあった場合、誰が調整するのか」といった点が曖昧だと、評価の公平性が担保できません。また、承認者が不在の場合の代理ルートがないと、評価プロセスが止まってしまいます。

フィードバックが行われない

評価を確定させることだけに意識が向き、本人へのフィードバックが後回しになるケースがあります。フィードバックがなければ、従業員は評価結果に納得できず、次期の改善にもつながりません。ワークフローの中にフィードバック面談を組み込んでおくことが重要です。

Excel管理で起きがちな問題

中小企業の多くは、人事評価をExcelで管理しています。Excelは手軽に始められる反面、運用が長期化するほど問題が顕在化しやすいツールでもあります。

属人化

「この評価シートは〇〇さんしか分からない」という状態は、典型的な属人化です。複雑な関数やマクロが組まれている場合、担当者が異動・退職すると運用が回らなくなるリスクがあります。また、ファイルの保管場所やファイル名のルールが統一されていないと、過去の評価履歴を探すだけでも一苦労です。

抜け漏れ

Excelでワークフローを管理すると、「誰がまだ提出していないか」「どの評価が承認待ちか」といった進捗管理が煩雑になります。メールでリマインドを送っても見落とされ、期限ギリギリになって慌てて対応する、という状況が繰り返されがちです。

不公平感

部門ごとに異なるフォーマットを使っていたり、評価基準の解釈がバラバラだったりすると、従業員の間に不公平感が生まれます。また、評価の調整プロセスがブラックボックス化すると、「なぜこの評価になったのか分からない」という不満につながります。

人事評価ワークフローを整理した中小企業の例

ある従業員数50名規模の企業では、人事評価制度を導入していたものの、運用がうまくいっていませんでした。

課題として挙がっていたのは、評価の提出期限が守られない、部門によって評価のばらつきがある、過去の評価履歴を参照しにくい、といった点でした。

この企業では、まずワークフローの見直しから着手しました。目標設定、中間面談、自己評価、一次評価、二次評価、フィードバック面談という各ステップを明確に定義し、それぞれの担当者と期限を設定しました。

次に、評価シートのフォーマットを全社で統一しました。部門ごとの独自フォーマットを廃止し、共通の評価項目と評価基準を設けることで、公平性を担保しました。

さらに、進捗管理の仕組みを整えました。従来はメールでの個別リマインドに頼っていましたが、提出状況を一覧で確認できるようにし、期限前に自動でリマインドが送られる仕組みを導入しました。

結果として、評価の提出率が向上し、期限内に評価プロセスが完了するようになりました。従業員からも「評価の流れが分かりやすくなった」という声が聞かれるようになりました。

人事評価ワークフローとシステム化の考え方

人事評価ワークフローの課題を解決する手段として、システム化があります。ただし、システムを導入すれば自動的に問題が解決するわけではありません。

システム化のメリット

人事評価をシステム化することで、いくつかのメリットが得られます。

進捗の可視化ができるようになります。誰がどのステップまで完了しているか、一目で把握できます。リマインドの自動化により、期限前に自動で通知が送られ、抜け漏れを防げます。評価履歴の蓄積と参照が容易になり、過去の評価を簡単に確認でき、成長の軌跡を追えます。また、フォーマットの統一が強制されるため、部門間のばらつきを防げます。

システム化の前にやるべきこと

重要なのは、システム化の前にワークフローを整理することです。ワークフローが曖昧なままシステムを導入しても、混乱がデジタル化されるだけです。

まずは現状のワークフローを可視化し、どこに問題があるのかを明確にしましょう。その上で、あるべきワークフローを設計し、それをシステムに落とし込むという順序が大切です。

自社に合った選択を

システム化の方法は、既存のSaaSツールを導入する方法と、自社に合わせたカスタム開発をする方法があります。

SaaSは導入が早く、コストも比較的抑えられますが、自社の評価制度に完全にフィットしない場合があります。カスタム開発は自社の運用に合わせた柔軟な設計ができますが、開発期間とコストがかかります。

自社の評価制度の複雑さ、従業員数、予算などを考慮して、最適な選択をしましょう。

まとめ

人事評価ワークフローは、評価制度を機能させるための土台です。

人事評価がうまくいかない原因の多くは、評価項目ではなくワークフローにあります。期限の設定、承認ルート、フィードバックの仕組みなど、流れを明確にすることが重要です。

Excel管理では、属人化、抜け漏れ、不公平感といった問題が起きやすくなります。ワークフローを整理し、必要に応じてシステム化を検討することで、これらの課題を解決できます。

ただし、システム化の前にまずワークフローを可視化・整理することが大切です。自社の評価制度を見直す際は、評価項目だけでなく、ワークフローにも目を向けてみてください。

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