ホームページを”2つ持つ”という発想——コーポレートサイトとランディングページの使い分け戦略

コラム

「ホームページは1つあれば十分」。多くの中小企業がそう考えています。

しかし、1つのサイトに会社案内も、サービス紹介も、採用情報も、ブログも、問い合わせフォームも全部詰め込んだ結果、どのページも中途半端になっていませんか。来客用の応接室で、商談も採用面接も社内会議も全部やっているようなものです。それぞれの目的に合った環境を用意しないと、どれもうまくいきません。

問い合わせを増やしている会社は、ホームページを「2つ」持っています。1つは会社の顔となるコーポレートサイト。もう1つは、特定のターゲットに向けた集客専用のランディングページ(LP)。この2つを使い分けることで、それぞれの目的に最適化された設計が可能になります。「ホームページをもう1つ?そんな予算ないよ」と思うかもしれませんが、実はLPはコーポレートサイトほどコストがかかりません。まずは考え方を知ってください。

コーポレートサイトとランディングページは「役割」が違う

まず、両者の違いを整理します。

項目コーポレートサイトランディングページ(LP)
目的会社の信頼性を伝える特定のアクションを起こさせる
対象すべてのステークホルダー特定の悩みを持つ見込み客
ページ数複数ページ(10〜30ページ)基本1ページ(縦長スクロール)
導線回遊させる(色々なページへ)一直線(問い合わせへ一本道)
更新頻度年に数回〜月数回キャンペーンや訴求ごとに作り替え
掲載情報会社概要・事業全体・採用・IR1つのサービス×1つのターゲットに絞る

コーポレートサイトは「会社の名刺」です。取引先が信用調査のために見る、銀行が融資審査で確認する、求職者が応募前にチェックする——あらゆるステークホルダーに対して「うちはちゃんとした会社です」と伝えるのが役割です。だから会社概要、沿革、事業内容、採用情報など、幅広い情報を網羅している必要があります。

ランディングページは「営業マン」です。特定の悩みを抱えた人に対して、その悩みの解決策を提示し、問い合わせという行動を起こさせることだけに特化したページです。余計な情報は一切なく、1つのゴールに向かって一直線に設計されています。

この2つをごちゃ混ぜにしているのが、多くの中小企業サイトの問題です。名刺に営業トークを詰め込もうとしても無理があるように、1つのサイトで「信頼の証明」と「問い合わせの獲得」を同時にやろうとすると、どちらも中途半端になります。

なぜ1つのサイトでは成果が出にくいのか

コーポレートサイト1つで集客もやろうとすると、構造的な矛盾が生まれます。

矛盾① ターゲットが分散する

コーポレートサイトは「すべての人」に向けて作られています。取引先も、求職者も、新規見込み客も、同じトップページを見る。結果として、誰にとっても「そこそこ」の情報量にしかなりません。

運送業の経営者が「ドライバー採用に困っている」という悩みでサイトに来ても、トップページには建設業向けの実績も、Web制作の案内も並んでいる。「自分向けのサイトではない」と感じて離脱します。「誰に向けたサイトか」という設計思想が、1つのサイトではどうしても薄まってしまうのです。

矛盾② 導線が複雑になる

コーポレートサイトはページ数が多く、訪問者を「回遊」させる設計になっています。トップページ→サービス一覧→個別サービス→事例→問い合わせと、何回もクリックしないとゴールにたどり着けない。

Webマーケティングの世界では「クリック1回ごとに訪問者の約30〜50%が離脱する」と言われています。4回クリックが必要なら、最初の訪問者の90%以上が問い合わせページに到達する前に消えている計算です。

矛盾③ メッセージが薄まる

1ページに複数のサービスを並べると、1つ1つのサービスに割ける情報量が限られます。「ホームページ制作もやります、SEOもやります、AI活用支援もやります」と書いても、各サービスの強みや実績を深く伝えることができない。結果として「何でもやります=何が強いかわからない会社」という印象になってしまいます。

ランディングページは、これらの矛盾をすべて解消します。1ページ・1ターゲット・1ゴール。この制約があるからこそ、メッセージが研ぎ澄まされ、訪問者を迷わせずに問い合わせまで導けるのです。

ランディングページはどう作るのか

ランディングページの基本構成は、問い合わせが来るトップページの構成と同じ「黄金の7ブロック」です。

ファーストビュー(3秒でターゲットの注意を引く)→ 悩み共感 → 解決策としてのサービス紹介 → 実績・数字 → お客様の声 → 選ばれる理由 → CTA(問い合わせ)

コーポレートサイトとの最大の違いは「余計なリンクを置かない」ことです。グローバルナビゲーションも、サイドバーも、フッターの大量リンクも不要。訪問者が「問い合わせ」以外のアクションを取れないようにすることで、コンバージョン率を最大化します。

これは「不親切」ではなく「迷わせない」という設計思想です。選択肢が多いほど人は迷い、迷うほど行動しなくなる。心理学で「決定回避の法則」と呼ばれる現象です。LPはこの法則を逆手に取って、訪問者に「問い合わせるか、ページを閉じるか」の2択だけを提示します。

具体的に、どんなLPを作ればいいか。いくつか例を挙げます。

業種LPのテーマ例ターゲット
建設会社「工場・倉庫の屋根修繕、最短◯日で対応」施設管理担当者
運送会社「ドライバー採用サイト制作パッケージ」採用に困っている運送会社の経営者
Web制作会社「月5件の問い合わせを生むHP改善診断」HPの成果に不満を持つ中小企業経営者
塗装会社「外壁塗装の無料見積もり、熊谷・深谷エリア対応」外壁の劣化が気になっている住宅オーナー

ポイントは「1LP=1サービス×1ターゲット」の原則です。複数のサービスをアピールしたければ、LPを複数作ります。「全部入りのLP」は結局コーポレートサイトと同じ問題を抱えるので、必ずテーマを1つに絞りましょう。

LPのタイトル(ファーストビューのコピー)を決めるコツは、ターゲットが検索しそうなキーワードをそのまま使うことです。「工場 屋根修繕 埼玉」で検索する人がいるなら、LPのファーストビューには「埼玉県の工場・倉庫の屋根修繕」というキーワードが入っているべきです。SEOとLPの設計は、ここでつながります。

コーポレートサイトとLPの「連携」が最大の効果を生む

2つのサイトは独立して存在するのではなく、連携させることで相乗効果を発揮します。

集客の流れはこうです。Google検索やAI検索、SNS広告などからランディングページに集客する。LPで悩みに共感し、サービスの価値を伝え、問い合わせを獲得する。問い合わせの前後で「この会社は本当に大丈夫か?」と思った人が、コーポレートサイトを見て会社の信頼性を確認する。

つまり、LPは「攻め」の役割、コーポレートサイトは「守り」の役割。この2つが揃うと、見込み客の「興味→信頼→行動」の流れがスムーズにつながります。

実際の行動パターンとして多いのは、LPを見て興味を持った人が、問い合わせフォームに入力する直前に「株式会社◯◯」で検索してコーポレートサイトを確認するという流れです。BtoBでは特にこの傾向が顕著で、担当者が上司に「この会社に依頼していいか」と相談するとき、コーポレートサイトが判断材料になります。

逆に、LPだけあってコーポレートサイトが古いままだと、「サービスは良さそうだけど、会社自体が怪しい」と思われるリスクがあります。LPで興味を持ったのに、会社名で検索したら10年前のデザインのサイトが出てきた——それだけで不安になって問い合わせをやめる人は確実にいます。両方を整備することが大切です。

整備する順番としては、まずコーポレートサイトの最低限の信頼性を確保してから、集客用のLPを作るのが理想です。コーポレートサイトの「最低限」とは、会社概要が正確で、デザインが古すぎず、スマートフォンで問題なく表示される状態。これができていれば、LPからの集客が「守り」で支えられます。

「LPを作る余裕がない」という方へ

「コーポレートサイト1つ維持するのでも大変なのに、もう1つなんて無理」と感じるかもしれません。しかし、LPはコーポレートサイトほど手間がかかりません。

コーポレートサイトは10〜30ページの構成で、定期的な更新も必要です。一方、LPは基本1ページ。一度作ってしまえば、大きな変更なく長期間運用できます。費用もコーポレートサイトの新規制作に比べれば大幅に抑えられます。

さらに、LPはコーポレートサイトとは別のドメインやサブディレクトリで運用できるため、既存サイトに手を加える必要がありません。今のコーポレートサイトはそのまま維持しつつ、集客用のLPを1枚追加する。これが最もリスクが低く、効果を実感しやすいアプローチです。

まずは自社の一番の強みとなるサービス1つに絞ってLPを作ってみる。そのLPから月に数件の問い合わせが来るようになったら、別のサービス向けに2枚目のLPを作る。こうやって段階的に増やしていけば、「コーポレートサイト1つで全部やっていた頃」との違いを実感できるはずです。

当社がコーポレートサイトとLPの両方を設計します

マスタングでは、コーポレートサイトの制作・改善と、集客特化型ランディングページの企画・制作を一貫して対応しています。「どんなLPを作れば問い合わせが増えるのか」「今のコーポレートサイトとどう連携させるのか」——戦略設計からお手伝いします。実際に当社のチャットボットLPも、この「コーポレートサイト+LP」の使い分け戦略で運用しています。

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