
同じ業種、同じ地域、同じくらいの会社規模。なのに、片方のホームページには毎月問い合わせが来て、もう片方はゼロ。この差はどこから生まれるのか。
「デザインが良いから」と考える方が多いのですが、それは正解ではありません。デザインが優れているのに問い合わせゼロのサイトは山ほどあります。逆に、見た目は素朴でも毎月安定して問い合わせが入るサイトもあります。
問い合わせが来るホームページには、見た目の裏側に「設計思想」が組み込まれています。この記事では、その設計思想を3つに整理して解説します。難しい専門用語は使いません。自社のホームページに何が足りないのかを見極めるヒントにしてください。
設計思想① 「誰に」が決まっている
問い合わせが来ないホームページの多くは、「すべての人に向けて作られている」という共通点があります。会社概要、事業紹介、実績、採用情報——情報は揃っているのに、読んでも「自分に関係がある」と感じられない。
問い合わせが来るホームページは違います。ページを開いた瞬間に「これは自分のためのサイトだ」と感じさせる工夫があります。
| 要素 | 「誰にでも」のHP | 「誰に」が明確なHP |
|---|---|---|
| キャッチコピー | 「信頼と実績のパートナー」 | 「運送業の人手不足、Webで解決しませんか?」 |
| サービス紹介 | 全サービスを均等に掲載 | ターゲットの悩みに対応するサービスを前面に |
| 事例紹介 | 業種バラバラの実績一覧 | ターゲットと同業種の事例を優先表示 |
| 導線 | 汎用的な「お問い合わせ」 | 「まずは無料の採用サイト診断から」 |
「ターゲットを絞ると客が減るのでは?」という不安はよく聞きます。しかし実際は逆です。すべての人に向けた曖昧なメッセージは誰の心にも引っかからず、結果として問い合わせゼロになる。一方、特定のターゲットに絞り込んだメッセージは、該当する人に「自分のことだ」と感じさせ、行動を促します。
釣りに例えるなら、海全体に網を投げるのではなく、魚がいるポイントに適切なエサを投げる方が釣れるのと同じです。ホームページも「誰に見てほしいか」を決めることが、すべての出発点になります。
「誰に」を決めるための具体的な方法は、過去1年間に問い合わせをくれたお客様を10社リストアップすることです。業種、企業規模、抱えていた悩み、問い合わせのきっかけ——これらを書き出すと、自社に相性の良いターゲット像が見えてきます。そのターゲットに向けてホームページを設計すれば、同じタイプのお客様からの問い合わせが増える好循環が生まれます。
ただし「誰に」は1つに限る必要はありません。建設業と運送業の両方をターゲットにするなら、それぞれ専用のランディングページを作れば、両方に刺さる設計ができます。重要なのは「1ページにつき1ターゲット」の原則を守ることです。
設計思想② 「何を」が成果で語られている
問い合わせが来るホームページは、サービスの「機能」ではなく「成果」を語っています。
ほとんどの企業サイトでは、サービス紹介ページに「レスポンシブ対応」「CMS搭載」「SEO対策込み」といった機能や仕様が並んでいます。これらは正しい情報ですが、訪問者が本当に知りたいのは「それで自分がどうなるのか」です。
同じサービスでも、伝え方を変えるだけで訪問者の反応は大きく変わります。
| 機能で伝える | 成果で伝える |
|---|---|
| レスポンシブデザイン対応 | スマホからの問い合わせ率が2倍になる設計 |
| CMS搭載で更新可能 | ブログ更新が自社でできるから、月々の運用費を削減 |
| SEO内部対策済み | 「地域名+業種名」で検索1ページ目を狙える |
| SSL証明書導入 | 「保護されていない通信」の警告が消え、信頼感アップ |
左列は「何ができるか」、右列は「あなたがどう変わるか」。これは業種を問わず同じです。建設業なら「鉄骨造対応」より「大型倉庫の建設、設計から施工まで一貫対応で工期を短縮」。運送業なら「GPS車両管理」より「リアルタイム追跡で荷主への報告工数をゼロに」。
訪問者は専門用語や機能名には興味がありません。「自分の悩みが解決するかどうか」だけに興味があります。この視点でサービス紹介を書き直すだけでも、ページの説得力は格段に上がります。
書き換えのコツは「だから何?」と自問することです。「レスポンシブ対応」→「だから何?」→「スマホで見やすい」→「だから何?」→「外出先から検索してきた人が問い合わせしやすい」。この「だから何?」を2〜3回繰り返すと、機能の裏にある「お客様にとっての本当の価値」にたどり着けます。
設計思想③ 「どう動かすか」の導線がある
3つの設計思想の中で、最も見落とされやすいのがこれです。「誰に」が決まり、「何を」が成果で語られていても、訪問者を問い合わせまで「動かす導線」がなければ、結局問い合わせにはつながりません。
導線設計とは、訪問者の心理を「知る→共感する→信頼する→行動する」の順で動かすファネルのことです。
問い合わせが来るホームページには、この心理の流れに沿ったコンテンツ配置があります。ファーストビューでターゲットの注意を引き、悩み共感で「この会社はわかっている」と感じさせ、実績やお客様の声で信頼を構築し、CTAで行動を促す。この一連の流れが「設計」であり、マーケティング用語では「ファネル」と呼ばれます。
ファネルがないホームページは、優秀な営業マンがいるのに商談の手順を教えていないのと同じ状態です。いくら良い商品を持っていても、伝え方の順番が間違っていれば成約には至りません。
よくある失敗パターンを3つ挙げます。
失敗① いきなりサービス紹介から始まる 悩み共感のセクションがなく、開いた瞬間にサービス一覧が表示される。訪問者にとっては「売り込まれている」と感じる構成です。営業マンがヒアリングなしでカタログを広げるのと同じで、どれだけ良いサービスでも押し売りに見えてしまいます。「こんなお悩みありませんか?」のワンクッションがあるだけで、訪問者の受け取り方はまったく変わります。
失敗② 信頼の裏付けがない 実績の数字、お客様の声、導入事例——これらが1つもないサイトは、「この会社に頼んで大丈夫かな」という不安を払拭できません。きれいなデザインだけでは信頼は生まれません。「創業◯年」「年間対応◯件」「リピート率◯%」——たった1つの数字があるだけで、ページ全体の説得力は格段に上がります。お客様の声は、顔写真と社名入りが理想ですが、手書きアンケートの画像やGoogleマップの口コミでも効果は十分です。
失敗③ CTAがページの最後にしかない 訪問者がページの途中で「問い合わせてみよう」と思っても、ボタンが見つからなければその気持ちは冷めてしまいます。CTAはページ中盤(サービス紹介の後)、終盤(お客様の声の後)、最下部の最低3箇所に配置するのが基本です。さらに「まずは無料相談から」「お見積もりだけでもOK」のように、問い合わせのハードルを下げる一言を添えると、クリック率は上がります。
3つの設計思想は「掛け算」で効く
「誰に」×「何を」×「どう動かすか」——この3つは独立した要素ではなく、掛け算の関係にあります。
ターゲットが明確でも、サービスが機能説明だけなら響かない。成果で語られていても、導線がなければ問い合わせにつながらない。導線が整っていても、ターゲットが曖昧なら誰にも刺さらない。3つすべてが揃って初めて、ホームページは「問い合わせを生む装置」として機能します。
よくあるのは「デザインをリニューアルすれば問い合わせが増えるはず」という期待ですが、3つの設計思想が欠けたままリニューアルしても、きれいなサイトが新しいきれいなサイトに変わるだけで成果は変わりません。見た目を変える前に、まず3つの設計思想を点検する方が、費用対効果ははるかに高いのです。
逆に言えば、今のホームページに問い合わせが来ていないとしても、3つのうちどこが欠けているかを特定できれば、改善の方向性は明確になります。フルリニューアルが必要とは限りません。足りない要素をピンポイントで補うだけで、成果が大きく変わることも珍しくありません。
自社サイトの「設計思想チェック」
自社のトップページを開いて、以下の3問に答えてみてください。
**①「誰に」チェック:**ファーストビューを見て、ターゲットの業種・地域・悩みのうち1つでも特定できるか?
**②「何を」チェック:**サービス紹介に「お客様がどう変わるか」という成果が書かれているか?それとも機能やスペックの羅列だけか?
**③「どう動かすか」チェック:**問い合わせボタンはページ内に2箇所以上あるか?ボタンの前に、信頼を裏付ける実績やお客様の声はあるか?
3つの設計思想のうち、欠けている要素がそのまま改善の優先順位になります。すべて「いいえ」でも悲観する必要はありません。逆に「伸びしろが3つもある」と考えれば、手を打つべきことは明確です。多くの場合、3つのうち1つを改善するだけで問い合わせの反応が変わり始めます。最初に手をつけるなら、最もインパクトが大きい①の「誰に」の明確化をおすすめします。ターゲットが決まれば、②の成果の語り方も③の導線設計も自然と方向性が見えてくるからです。
当社が3つの設計思想をホームページに組み込みます
マスタングでは、「誰に→何を→どう動かすか」の設計から、コピーライティング、公開後のアクセス解析・改善まで一貫して対応しています。「問い合わせが来ない原因がわからない」「リニューアルか部分改修か判断がつかない」「3つの設計思想のうちどこが欠けているか客観的に知りたい」という方は、まずは現状サイトの診断からお気軽にご相談ください。既存のデザインを活かしたまま、設計思想を組み込む改修も対応しています。
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